引き算の美学
MAZDA3が国内でようやく発売されました。
クルマ好きなら気になっている方も多いのではないでしょうか?
特にハッチバック(MAZDAはFASTBACKと呼んでいます)のデザインが斬新で、サイドパネルにほとんどキャラクターライン(プレス)を使用しない塊感が強調されたものとなっています。それだけに全体のフォルムの綺麗さが問われるところですが、MAZDAが謳う「引き算の美学」が上手く作用していると思います。
見た瞬間にその美しさに目を奪われるもので、新時代のMAZDAデザインの始まりを感じさせる秀作と言えます。
「第7世代」という最新のアーキテクチャが採用され、今後のマツダの指針となるモデルです。
インテリアに至っては、クラスを超えた質感で造形も奇をてらったものではなく、落ち着きのあるシックなものとなっていて、エクステリアと共に好感が持てます。
MAZDA3が北米で発表されてからかなり期待していたので、今回、試乗して参りました。
最初に載ったのは、1.5S Touring。
6EC-AT(2WD)でボディ・カラーはジェットブラックマイカ。
1.5Lの最上級グレードですが、全ラインナップ中下から2番目のグレードとも言えます。
下から2番目と言っても侮れません、足回りは18インチのアルミホイールに試乗車は215/45R18サイズのBRIDGESTONE TURANZAを履いていて、ドアを開けた瞬間からクラスを超えた質感のインテリアが迎えてくれます。MAZDAが拘り抜いて造り込んだドライバーを中心にしたコクピット、一見すると液晶と思えないTFTカラーの7インチマルチスピードメーター、アナログ世代にとっては嬉しいデザインで親近感が感じられます。(スピードメーター以外はアナログです)プッシュスタートボタンを押してエンジンスタート、窓を開けなければかなり遮音されていてエンジン音もほとんど聞こえません。
シートも見た目の派手さはないですが、座った感じは腰から支えるタイプで、MAZDAがこだわる「まっすぐ座れる」が体感できます。1.5Lには電動シートアジャスターが備わっていないため手動となりますが、きめ細かな調整ができるため特に不満はありません。
ただ、「まっすぐ座れる」を実現するため、前輪を前方に移動させている分、フロントノーズが長くなり、2,725mmと結構ホイールベースが長い割に後席のレッグルームと、特徴的なデザインでリアウインドウが極端に寝ているため、ヘッドクリアランスに余裕はありません。まっ、この美しいデザインと引き換えに我慢せざるを得ないでしょうか。紛れもなく、前席優先のドライバーズ・カーです。スペースはミニマムとなってもリアシートの造りは手を抜かず、シートバックはちゃんと肩を包み込む高さを確保しています。このあたりはMAZDAの物づくりの実直さが表れているところと言えそうです。
アクセルペダルは扱いやすいオルガンタイプが採用されています。走り出して気付くのはボディ剛性の高さと多段化されなかった前モデルからのキャリーオーバーとなる6速ATのスムーズさです。最近の高性能なATに乗っていないこともあるのかと思いますが、変速ショックもなく、マニュアル操作を行っても全く違和感はありません。試乗が港内の四角形を成す道路を周回するだけのコースだったので、ハンドリングやサスペンションについてお伝えできることはほとんどありません。サスペンションが、アクセラのマルチリンクからトーションビームへとメカニズム上簡素化されたため気になるところですが、低速時に段差を越えた時のショックをはっきり伝えてくるものの、取り付け剛性が高いためか嫌な感じがしないこと、テアリングの握りが意外に細めだけど、操作感はほんとに自然で好ましいことだけはお伝えできます。
次に乗ったのは、セダンのXD L Package。マシーングレープレミアムメタリックのボディ・カラーにピュアホワイトのレザーシートでちょっと洒落ていました。エンジンは1.8Lのクリーンディーゼル・ターボエンジンを搭載する現時点での最高グレード!(10月発売予定のSKYACTIV-Xエンジンが発売されるまでですが)
MAZDAがとことんこだわったオプションのBOSEサウンドシステムを装備していたので、わくわくして視聴しようと思ったら、音楽媒体が入っていない!!
試乗会でこれはあり得ないですよね!! FMラジオの視聴となってしまい感動はありませんでした⤵ いかりや長介じゃないですけど「駄目だこりゃ!!」
本題の走りに戻りますと、1.5Lのガソリンエンジンに比べるとトルクがあって加速も力強さを感じます。ただ期待したほどパワフルだとは思いませんでした。最大出力は116ps/4,000rpm、最大トルクは27.5kgf・m/1,600-2,600rpmと1.8Lのディーゼル・ターボとしてはやや物足りないスペックとなっているので当然といえば当然でしょうか。ハンドリングやサスペンションはファストバック同様、大変素直で好ましいものでした。
MAZDAにお願いしたいのは、クリーンディーゼル・ターボエンジンをもう少しパワーアップしいただきたい。プジョー308なんかは、1.5Lのクリーンディーゼル・ターボエンジンで最大出力130ps/3,750rpm、最大トルク300Nm/1,750rpmを発揮しているのでもう少し頑張っていただきたいところです。
エンジン音は外で聞くとディーゼルとすぐ判る音はしますが、走行中は窓を閉めていればほとんどディーゼル音は気にならなくなります。注意して聞くと明らかにガソリンエンジンとは違う音は聞こえますが...
ファストバック、セダンともラゲッジスペースは十分確保されています。当然、全長の長いセダンの方がスペースは広いですが、ファストバックも外観から想像するよりも広いスペースが確保されています。スペアタイアが装備されないため、深さもかなり確保されていますが、開口部までの段差が大きいため、重い荷物の出し入れは腰に負荷かかかりそうなので、高さを調整できる工夫が欲しいところです。
そんな細かなところは大きな問題ではなく、全体的な完成度はかなりのもの。
MAZDAは短い期間でブラッシュアップする真面目な会社なので、8速オートマを搭載するのも時間の問題でしょうか...
今後、直列6気筒(ディーゼル?)やFRの開発を公表したMAZDAは、これからも目が離せませんよ!!
☝MZDA3の元となった「マツダ 魁 CONCEPT」
☝MZDA3の元となった「マツダ 魁 CONCEPT」
ソウルレッドクリスタルメタリックは光の加減によってその表情を大きく変えます。
☝市販型になってもコンセプトモデルの良さが色濃く残っています。ひとつ上のコンセプトモデルと比較していただくと、当然、コンセプトモデルの方がカッコいいんですけど、生産型も結構頑張っていることがお分かりいただけますよね!
☝ファストバックの陰に隠れてしまいがちですが、セダンもしっかりデザインされています。
☝テールランプのデザインもファストバックとは異なります。
☝ちなみにこちらがファストバックのテールランプです。
☝ファストバックのリアスタイル。
☝オーソドックスなインテリアですが、クラスを越えた造り込みの良さが感じられます。(画像は左ハンドルの海外仕様です)
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